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2016年5月27日金曜日

ベテルギウスが爆発する?

オリオン座のアルファ星(一番明るい星)はベテルギウスと呼ばれ、全天の中で最も明るい星の一つであり、冬の大三角を構成する星の一つでもあります。

このベテルギウスが今にも爆発するのではないかと最近ネット上で騒がれています。しかしベテルギウスが星の一生を終えて超新星爆発間近などというのは何年も前から言われていることで、ちょっと天文に詳しい人にとっては半ば常識的な話です。今更騒ぐほどの事でもありません。特に新しい兆候が見つかったという事でもないようです。



今にも爆発しそうだというのはながち間違った話ではありません。15年間で15%も小さくなっているという観測もあり、形も球形を保っていられない程不安定になっているようです。それでも超新星爆発が起こるのは明日かもしれないし、100年後かもしれない、1万年後かもしれないという程度の確度の話です。今の地震予知の方がよっぽど正確です。注意しなければいけないのは、ベテルギウスは太陽系から640光年離れていることです。(少し前までは472光年というのが定説でした。) ということは既に爆発していて、その事象を伝える光がまだ地球に届いていないだけかもしれません。そこのところは誰にも分かりません。

640光年という距離は宇宙スケールで言うと、すぐ隣といってもいい位の近さです。これ程の近い距離で超新星爆発が起こるのは数万年に一度のチャンスです。しかし超新星爆発というのはシャレにならないくらい激しい現象で、もしこれが例えば10光年程度の所で起こったとすると、生命など瞬殺です。観測どころの騒ぎではありません。640光年というのはまあ直接的な影響は無いだろうという位の距離で、観測するには絶好の距離です。もし今の人類がこの爆発を見ることができれば、相当ついていると言えます。特等席で特大の打ち上げ花火を見るようなものです。

爆発した暁には、数ヶ月に渡り、月よりも明るい星が夜空に輝き、昼間でも太陽の横にもう一つの太陽が見えることでしょう。ニュートリノも重力波も観測できるようになった人類のこと、天文学者などはお祭騒ぎどころの話ではなくなります。そして祭が終わった後には、冬の大三角の一つを失ないますが、今度は吹き飛ばされたガスが光輝き、さぞや綺麗な星雲が残ることでしょう。因みにオリンオン座には既にオリオン大星雲というこれまた美しい星雲がありますが、これを越える美しさになることでしょう。

アーサー・C・クラークの小説に「太陽系最後の日」という短編があります。これは新星爆発を起こす直前の太陽系から人類が新天地を求めて旅立っていくのを、遥かに科学技術の進んだ宇宙人が発見し、よくもまあこんな原始的な宇宙船で、と半ば呆れながらも心暖かく迎えてくれるという話です。

これと似たことがベテルギウスでも起こっているかも知れません。もしベテルギウス星系に知的生命がいて、十分に進歩した科学技術を持っていたとすれば既に(多分何千年、何万年も前に)、他の天体に向けて旅立っているかも知れません。そこまで技術が進歩していなかったとすれば、残念ながら既に死滅していることでしょう。ひょっとしたら今も太陽系に向けて旅をしている最中かもしれません。もし地球にお出でいただいた節には暖かく迎えてあげたいものです。

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