スポンサーリンク

2016年8月28日日曜日

小学生でも分かる相対性理論


相対性理論は難解?

20世紀の物理学の最大の成果は相対性理論と量子力学です。特にアインシュタインの相対性理論は時間の進み方が変化したり、ブラックホールという変なものを生み出してしまったりと、それまでの常識を引っくり返すような結論を導き出し、世間をあっと言わせました。難解な理論の代表とでも言える相対性理論は、専門的な勉強をした人でなければ理解できないと思っている人は多いのではないでしょうか?しかしその根底にあるアイデアは驚くほど単純なものです。

光の速度を測定する


光の速度が秒速(約)30万キロというのはよく知られた話です。1秒間に地球7周半という例えもよく耳にします。この光の速度、19世紀末には既にかなりの精度で測定できるようになっていました。光の速度が正確に測定できるようになると、次は静止した物体と動いている物体から発した光で速度の違いが見られる筈だと考え、この違いを測定しようとする動きが始まりました。19世紀末から20世紀初頭にかけて様々な実験が行なわれました。

一番有名なところではマイケルソン&モーリーの実験があります。1887年のことです。これは当時人類が観測できる最高の速度、つまり地球が太陽の回りを公転する運動を利用たものです。地球の公転運動方向に発した光とその垂直方向に発した光を、非常に巧妙な方法で比較し、少しでも速度に違いがあればたちどころに検出できる装置を開発しました。これは近年今話題になっている重力波観測装置の原型とでもいうべきものです。地球の公転速度は秒速約30Kmです。理論的には当時の実験装置でも十分検出可能な筈でした。

しかし結論から言うとこの実験は失敗に終わります。いくら実験を繰り返しても速度の違いが検出できないのです。マイケルソン&モーリーに限らず、当時行なわれた他の同様な実験もことごとく失敗に終わりました。
因みに、マイケルソンはこの実験により後年ノーベル賞を受賞します。失敗したにも係わらずです。

ボールの落下実験

少し話を変えてボールの落下を考えます。

静止している電車の中でボールを落とすと、ボールは真っすぐ地面に向かって落ちていきます。(図のA-B)
それに対し、動いている電車の中でボールを落とすと、電車の中の人にとっては真っすぐの落ちているように見えますが、外部で静止している人から見ると、ボールは斜めに落ちていくように見えます。図の A-B' という距離を移動したことになります。移動している物体から発した物質には、電車の移動速度が加わって速度が増し、より長い距離を移動したことになります。



整合性をとるために


ところで、速度の公式は以下で表わされます。小学生でも分かる公式です。


20世紀初頭、どんな実験をやっても光の速度に違いが見られないということは、上の公式で V が変化しないということです。しかし電車の例で見たように、静止している物体と移動している物体では移動距離 L が変化します。そうなると上の公式を保つには時間 T が変化しなくてはなりません。

どんな観測者に対しても光の速度の変化が見られないという当時の実験結果を受け入れるとすると、その皺寄せは時間が引き受けなくてはなりません。つまり時間が伸びたり縮んだりしなくてはならないのです。

これが相対性理論の根底にある考え方です。どうです、非常に簡単でしょ?難しいところどこにも有りませんよね。

それでもアインシュタインは天才的

時間というのは観測者に係わらず、どんな人にとっても同じように流れていくものと信じられていた当時の常識からすると、これは驚くべき結論です。常識というのが如何にいい加減なものかを物語るいい例です。地動説や進化論など、盲目的に信じられている従来の常識を打ち破ることから科学は大きく進歩します。

当時、光速に違いが見られない実験結果をどう解釈していいか頭を悩ませていた科学者達は、何とかしてそれを理屈付けしようと苦しんでいました。今から思うと何故こんな単純なことに気が付かなかったのかと不思議に思います。それ程常識の束縛というのは強いものなのです。

アインシュタインが特殊相対性理論を発表したのが1905年。20世紀初頭、時は満ちていました。もしアインシュタインが発見していなくても、それほど時を待たずに他の誰かが発見していたことでしょう。それでも時間が変化するという着想を最初に得たアインシュタインは天才的だと思います。更にアインシュタインの凄いところは、この理論を更に展開し、重力の理論(一般相対性理論)にまで発展させたことです。これはアインシュタインの天才性を持ってして成しえた業績だと思います。

0 件のコメント :

コメントを投稿